定年後の不安と絶望
定年を迎えて、会社に出かけることが無くなった日々。
その前から、あれこれ考えたり、自分なりに準備をしていたつもりではあったのだが、退職した直後から計画通りに行かなかったことなどを含めて定年後すぐに不安に襲われた。
それが不安なのか恐怖なのか。
長い間、決まった収入を毎月得ていて、毎日イヤイヤながらでも会社に出かけて仕事をしていれば、少なくとも生活の糧については心配する必要が無かった。また、会社でやっている仕事は、大きなやりがいに繋がって居ない仕事でも、日常の仲間との話し合いや、ちょっとした会議での発言、仲間からの小さな感謝などで小さな充足感はちょくちょく得ることができた。
会社から離れて、雇われて与えられる仕事が無いということ。また、周りに仕事仲間がいないということ。
この自由さは、それだけで対象の無い漠とした不安を生じさせる。
もちろん、将来に対する金銭的な不安はとてつもなく大きい。
しかも、定収入がないと言うことは、今ある貯金は今後減っていくことはあっても、それを補填する宛てが何もないということだから不安はつのる一方だった。
そもそも、自分は憂鬱な気分に陥りやすい。
学生時代は、気分の上がり下がりがけっこう激しく、数日ごとに憂鬱な気分に陥っていたような気がする。
病院には行かなかったのだけど、まさに生きていることそのものが辛く苦しい日々で、椅子に座って呼吸をしていることそのものが不幸感そのものになった感じで生存していることが困難なくらいに辛かった。
なんとかその状態から抜け出した後も、もしまたそれと同じ状態になるくらいなら死んでしまいたいと思えるような日々だった。
退職後に度々襲ってくる不安も、なんとなく深い憂鬱を抱えているような嫌な不安感だった。
ただ、今回は不安を感じ始める度にうまく不安を心の中から逃すことができ、長い時間憂鬱に陥ることにならずに済んでいる。
それはなぜなのか。
少しは、対処の仕方を学んできたと言うことなのか、歳を取っていいかげんに物事を考える老人としての力が付いてきたからなのか、このことについても今後ゆっくりと考えていきたいと思う。